焙煎したてのコーヒーを休ませるべき理由(と、待つべき日数)
Andrè Tomassiコーヒーが届いて、袋を開けると香りがキッチンいっぱいに広がる。こうなると、すぐに挽きたくなりますよね。でも、ちょっと待ってください。荷物に入っているカードにも大きく「待って!すぐに開けないで」と書いていますが、これは焙煎所のこだわりや気取りではありません。焙煎したてのコーヒーは焼きたてのパンのようなもの。香りは最高ですが、まだ本領を発揮できる状態ではないのです。この記事では、その理由と、抽出方法ごとに何日待てばいいのかをご説明します。
焙煎後、豆の中で起きていること
焙煎中、豆はすっかり姿を変えます。糖がカラメル化し、何百もの香り成分が生まれ、同時に大量の二酸化炭素(CO₂)も発生します。その一部は豆の組織の中に閉じ込められ、その後の数日間でゆっくりと放出されます。このプロセスをデガス(ガス抜け)と呼びます。
私たちの袋に小さなバルブが付いているのも同じ理由です。空気を入れずにCO₂だけを外に逃がしてくれます。袋を軽く押してコーヒーの香りがする空気が「プシュッ」と出てきたら、それは豆が「呼吸」している証拠です。
新鮮すぎるコーヒーがうまく抽出できない理由
ガスをたっぷり含んだコーヒーにお湯が触れると、CO₂が一気に出てきて泡になります。この泡が文字どおりお湯とコーヒー粉の間に割り込み、お湯の流れが不均一になります。その結果、抽出されすぎる部分と、抽出が足りない部分ができてしまうのです。
カップでは、こんなふうに表れます。
- ドリップの場合:蒸らしでケーキのように大きく膨らみすぎる、一杯ごとに落ちる時間がばらつく、酸っぱい、またはどこか物足りない味になる。
- エスプレッソの場合:クレマは多いけれど粗く、すぐに消えてしまう。抽出が安定せず、甘さの代わりにトゲのある味や塩気のある味が出る。
- マキネッタの場合:コーヒーが途切れ途切れに上がってきて、「吹き出し」やすくなる。
ラベルに書かれたフレーバー(ピーチ、ハチミツ、チョコレート)はちゃんとそこにあるのですが、隠れてしまっています。数日休ませると、表に出てきます。
どれくらい待つ? 私たちの目安は5日と15日
コーヒーはそれぞれ個性が違いますが、アプリリアの焙煎所で焙煎するすべてのロットを何年もテイスティングしてきた経験から、次の期間をおすすめしています。
- ドリップ、エアロプレス、マキネッタ:焙煎日から最低5日。ドリップは圧力をかけずにゆっくり抽出するので、多少ガスが残っていても「許してくれる」のです。
- エスプレッソ:最低15日。マシンの圧力がCO₂の泡ひとつひとつを増幅させるので、エスプレッソにはもう少し辛抱が必要です。
フルーティーでフローラルなコーヒーに使う浅煎りは豆の密度が高く、ガス抜けもゆっくり進む傾向があります。ゲイシャやOver Your Limitsシリーズの競技会用コーヒーなら、特にエスプレッソでは、3〜4週間たってからがいちばんおいしい、ということも珍しくありません。
休ませたあとは? いちばんおいしい期間
休ませるといっても、棚の奥に忘れておくという意味ではありません。エイジング期間が過ぎたら、豆のままのコーヒーは、正しく保存すればその後4〜6週間ほどが飲み頃の目安です。袋をしっかり閉じる(または密閉容器に入れる)、光・熱・湿気を避ける、が基本です。もっと長く保存したいなら冷凍庫も使えますが、正しい使い方があります。詳しくはコーヒーの保存方法のガイドでご紹介しています。
一方、粉にしたコーヒーは香りが抜けるのがずっと早いので、いつも飲む直前に挽くことをおすすめしています。
コーヒーが飲み頃かどうかを見分けるには
焙煎日はあくまでスタート地点。最後に決めるのは舌です。ご自宅でできる3つの簡単なテストをご紹介します。
- 蒸らし:ドリップで、粉の層がしっかり、でも均一に膨らみ、30〜45秒で落ち着きますか? それなら飲み頃です。泡立って「噴火」するようなら、あと数日待ちましょう。
- 安定性:同じレシピで2杯続けてエスプレッソを淹れて、抽出時間がほぼ同じになりますか? それは良いサインです。
- 飲み比べ:同じコーヒーを、同じレシピで今日と3日後に淹れてみてください。舌を鍛えて、ロットがどう変化するかを知るいちばん楽しい方法です。
基本のレシピはこちらからどうぞ:ドリップ、エスプレッソ、エアロプレス、マキネッタ。
スーパーのコーヒーにこの「問題」がない理由
棚に並ぶ頃には、とっくにガスが抜けているからです。何か月も前に、ということも少なくありません。パッケージに書いてあるのは賞味期限で、焙煎日はほとんど書かれていません。休ませる必要はありませんが、そのコーヒーが本来語れたはずのことの多くも、すでに失われてしまっているのです。
私たちは小さなロットで焙煎し、焙煎日を袋に記載した新鮮なコーヒーをお届けしています。だからエイジングはご自宅で。それが旅の中でお客さまに担っていただくパートですが、待つだけの価値は保証します。
コーヒーを切らさないための実践的なコツ
いちばん簡単なコツは、いつも2袋ストックしておくこと。1袋は開けて飲んでいる分、もう1袋は封を開けずに休ませている分です。1袋目がなくなりそうな頃には、2袋目が飲み頃になっています。これで「新鮮すぎるコーヒー」か「コーヒーなし」かで悩むことはもうありません。
考えるのも面倒、という方のためにあるのがTomassi Coffeeの定期便です。毎月コーヒーが届くので、それを休ませておけば、いつでも飲み頃の袋が手元にあります。
特定のコーヒーについて気になることがあれば、お気軽にメッセージをください。「いつ飲み頃になるの?」は、私たちがいちばん好きな質問です。
Kiss my beans!
心から感謝を込めて、Tomassi Family